株式会社スリーエーコンサルティング

2024年9月13日

SDGs目標2「飢餓をゼロに」とは?企業の取り組み事例も紹介

SDGs目標2「飢餓をゼロに」は、資源の効率的な利用、廃棄物の削減、地球の持続可能な利用を促進することを目指しています。このSDGsの目標2に対して企業ができる取り組みとしては、食品ロスの削減、子ども食堂などへの支援、従業員への食育活動などが挙げられます

1.SDGsとは?

SDGsとは、国連に加盟する全193か国が達成を目指す国際目標のことです。
Sustainable Development Goalsの略称で、日本語にすると「持続可能な開発目標」です。

経済、社会、環境の3つの側面にまたがり、持続可能な社会の実現を目指しています。
「誰ひとり取り残さない」を基本理念に、17の目標と169のターゲットから構成されています。

2.SDGsの目標2「飢餓をゼロに」を簡単に解説

SDGsの目標2の「飢餓をゼロに」は、飢餓を終わらせ、食料安全保障および栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進することを目指しています

具体的には、以下のような課題を解決することを目指しています。

①飢餓と栄養不良

すべての人々が十分な食料を得られるようにし、特に子どもや妊婦、授乳中の母親などの栄養状態を改善します。

②持続可能な農業の推進

環境に配慮した農業技術を導入し、小規模農家の生産性と収入を向上させることで、食料供給の安定を図ります。

③食料システムの強化

食料の生産、流通、消費の各段階での効率性を高め、食料ロスや廃棄を減少させる取り組みを進めます。

④農業の気候変動適応

気候変動の影響を受けやすい地域や農業従事者に対して、適応策を提供し、持続可能な農業を支援します。

⑤農業研究と技術革新の促進

農業の生産性を向上させるための研究開発を推進し、新しい技術や知識を普及させます。

これらの取り組みを通じて、飢餓を根絶し、すべての人々が健康で栄養豊かな食事を享受できる社会を目指しています。

そして、この「飢餓をゼロに」という目標には、5つのターゲットとaからcまでの具体的な対策が3つ設定されています。

2.1 2030年までに飢餓を撲滅し、すべての人々、特に貧困層や乳児を含む弱い立場にある人々が、一年を通じて安全で栄養価の高い十分な食料にアクセスできるようにする。

2.2 2030年までに、5歳未満の子供の発育阻害と消耗に関する国際的に合意された目標を2025年までに達成することを含め、あらゆる形態の栄養失調を撲滅し、思春期の少女、妊娠中および授乳中の女性、高齢者の栄養ニーズに対処する。

2.3 2030年までに、土地、その他生産資源や投入資材、知識、金融サービス、市場、付加価値や非農業雇用の機会への確実かつ平等なアクセスの確保などを通じて、女性、先住民、家族農家、遊牧民、漁業者をはじめとする小規模食料生産者の農業生産性及び所得を倍増させる。

2.4 2030年までに、持続可能な食料生産システムを確保し、生産性と生産量を向上させ、生態系を維持し、気候変動や異常気象、干ばつ、洪水等の災害への適応能力を強化し、土地と土壌の質を漸進的に改善するような強靱(きょうじん)な農業慣行を実施する。

2.5 2020年までに、国、地域、国際レベルで適切に管理され多様化された種子・植物バンクなどを通じて、種子、栽培植物、飼育・家畜化された動物とそれらの近縁野生種の遺伝的多様性を維持し、国際合意に基づき、遺伝資源と関連する伝統的知識の利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分へのアクセスを促進する。

2.a 開発途上国、特に後発開発途上国における農業生産能力を強化するため、国際協力の強化などを通じて、農村インフラ、農業研究・普及サービス、技術開発、植物・家畜遺伝子バンクへの投資を増大する。

2.b ドーハ開発ラウンドの任務に従い、あらゆる形態の農産物輸出補助金と同等の効果を持つすべての輸出措置を並行して廃止することなどを通じて、世界の農産物市場における貿易制限と歪みを是正し、防止する。

2.c 極端な食料価格の変動を抑えるために、食料商品市場とその派生商品の適切な機能を確保し、食料備蓄を含む市場情報へのタイムリーなアクセスを促進するための措置を採用する。

引用:国連公式サイト | Goal 2: Zero Hunger – United Nations Sustainable Development

3.SDGsの目標2「飢餓をゼロに」における日本の課題とは?

SDGs目標2「飢餓をゼロに」に関する日本の主な課題として、以下の点が挙げられます。

①食料自給率の低
日本は食料自給率が低く、多くの食料を輸入に依存しているため、食料供給の安定性が課題となっています。

②食品ロスの削減
日本の食料ロスは年間600万トン以上に上り、農業の持続可能性においては高齢化や労働力不足が深刻な課題となっています。これらの問題に対処するためには、消費者の意識改革や農業の効率化、環境に配慮した農業技術の導入が重要です。

4.どのような企業が対象となるのか?

SDGsの目標2「飢餓をゼロに」は、すべての企業が自分事として取り組むべき重要な課題です。各企業が自社の業務やリソースを活用して、飢餓の解消に向けた具体的なアクションを起こすことが求められています。

以下に、一部の業界の具体的な理由と取り組み例を挙げます。

①食品業界
食品メーカーやレストランは、食品ロスの削減や持続可能な食材の調達を通じて、飢餓の解消に直接貢献できます。

②農業関連企業
農業機械メーカーや肥料・種子の供給業者は、持続可能な農業技術の開発と普及を通じて、食料生産の効率化と安定供給を支援できます。

③建設業
建設業界は、農業インフラの整備や灌漑システムの構築を通じて、農業生産性の向上に寄与できます。
また、社員食堂での食品ロス削減や地元農産物の利用も重要な取り組みです。

④製造業
製造業は、サプライチェーン全体での食品ロス削減や、持続可能な原材料の調達を通じて、間接的に飢餓の解消に貢献できます。また、社員食堂での取り組みも重要です。

⑤IT・テクノロジー企業
IT企業は、データ分析やIoT技術を活用して、農業の効率化や食品ロスの削減を支援できます。
例えば、スマート農業技術の開発や、食品ロスを減らすためのアプリケーションの提供などが考えられます。

⑥物流・運輸業
物流業界は、効率的な輸送システムを構築することで、食品の鮮度を保ち、ロスを減らすことができます。また、食品の寄付や再配分のための物流支援も重要です。

⑦教育・研究機関
教育機関や研究機関は、持続可能な農業技術の研究開発や、次世代の農業従事者の育成を通じて、飢餓の解消に貢献できます。

5.企業の具体的な取り組み事例7選

SDGsの目標2の「飢餓をゼロに」に関連して、企業の具体的な取り組み事例を7つ挙げます。

①食品ロスの削減
企業が余剰食品や賞味期限が近い食品を割引で販売したり、フードバンクに寄付することで、食料を必要としている人々に提供することができます。これにより、食品ロスを減らし、飢餓問題の解決に貢献します。

②フェアトレードの推進
フェアトレード製品を取り扱い、生産者に公正な価格を支払うことで、彼らの生活を支援することができます。

③地域の子ども食堂への支援
地域の子ども食堂に対して、食品や資金の寄付を行うことで、地域の子どもたちが栄養バランスの取れた食事を摂ることができるよう支援します。これにより、地域社会全体の健康と福祉の向上に寄与します。

④従業員への食育
社内での食育プログラムを実施し、従業員に健康的な食生活の重要性を啓発します。

⑤災害時の食料支援
自然災害や紛争などの緊急時に食料支援を行うために、被災者の食料確保を支援することも企業として取り組める内容です。

⑥地域コミュニティとの連携
地域コミュニティと連携し、地元の農産物を使用した製品を開発・販売することで、地域経済を活性化させることができます。

⑦寄付プログラムの実施
企業が売上の一部を飢餓対策のために寄付するプログラムを実施し、飢餓に苦しむ人々を支援します。

これらの取り組みは、企業が比較的簡単に始められるものであり、地域社会や従業員に対してもポジティブな影響を与えることができます。

6.私たち個人にもできる身近な取り組み事例7選

SDGsの目標2の「飢餓をゼロに」に関連して、私たち個人にもできる身近な取り組み事例を7つ紹介します。

①食品ロスの削減
食品の無駄を減らすために、食材の賞味期限を確認し、計画的な買い物を行うことで食品ロスを減らすことができます。

②地元産の食材を選ぶ
地元で生産された食品を積極的に購入することで、地域の農業を支援し、持続可能な食料供給を促進することができます。

③食糧支援への参加
食糧銀行やフードバンクなどの支援活動に参加し、飢餓に直面している人々に食料を提供することで、地域社会に貢献することができます。

④食育の推進
子どもたちに食の大切さや栄養バランスについて教えることは、将来的な食料問題の解決に繋がります。
家庭での食事作りに子どもを参加させたり、学校や地域の食育プログラムに参加することが有効です。

⑤持続可能な農業を支援する
有機農産物やフェアトレード製品を選ぶことで、持続可能な農業を支援することができます。
これにより、環境保護や農家の生活向上に貢献できます。

⑥家庭菜園を始める
自分で野菜を育てることで、食料の自給自足を促進し、食の安全性を高めることができます。

⑦食料支援団体への寄付やボランティア活動
飢餓問題に取り組む団体に寄付したり、ボランティアとして活動することで、直接的に飢餓の解消に貢献できます。

これらの取り組みは、個々の行動が集まって大きな影響を与えることができるため、誰もが参加しやすい身近な取り組みとなっています。

7.SDGs の目標2「飢餓をゼロに」に取り組む上での課題

SDGsの目標2の「飢餓をゼロに」に取り組む上での課題は以下の通りです。

①食料の偏った分配
世界中で生産される食料は十分な量があるにもかかわらず、地域や国によって食料の分配が不均衡です。豊かな国では食料が余り、貧しい国では食料が不足している状況が続いています。この偏りを解消するためには、国際的な協力と効率的な物流システムが必要です。

②気候変動の影響
気候変動は農業生産に大きな影響を与えます。異常気象や自然災害が頻発することで、作物の収穫量が減少し、食料供給が不安定になります。これに対処するためには、気候変動に強い農業技術の開発や、持続可能な農業の推進が求められます。

③貧困と食料アクセスの問題
貧困層は食料を購入する経済的な余裕がなく、栄養不足に陥りやすいです。貧困の解消と食料の入手のしやすさを改善するためには、経済的な支援や教育、雇用機会の創出が必要です。また、食料価格の安定化も重要な課題です。

これらの課題を解決するためには、政府、企業、サプライチェーン、NGO、個人が協力して取り組むことが求められます。

まとめ

SDGs2「飢餓をゼロに」に向けた企業の取り組みは、社会全体の持続可能な発展に寄与します。

例えば、食品ロス削減のためのフードバンクへの寄付や、社員食堂での余剰食品の再利用、地域の子ども食堂への支援などが挙げられます。

これらの取り組みは比較的簡単に始められ、企業の社会的責任を果たす一助となります。

また、社員の意識向上や地域社会との連携を深める機会にもなります。企業が積極的に参加することで、飢餓問題の解決に向けた大きな一歩を踏み出すことができます。

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